山階鳥類学雑誌についてのお知らせ

2021年7月5日更新

以下の文章は山階鳥類学雑誌53巻1号に掲載の「巻頭言」を転載したものです。

これまで山階鳥類学雑誌は、原著論文、短報、総説、報告、雑録のカテゴリーへのご寄稿をお願いしてまいりました。原著論文、短報、総説については従来どおりですが、本雑誌独特のカテゴリーである「報告」については大幅な変更をいたします。

「報告」は従来、論議をふくめないものとしてきましたが、分布拡大を示唆する観察記録の報告、あたらしい行動の記載や雑種らしい個体の記載など、学術的に重要であり、なんらかの考察が必要とされる報告も多く含まれていました。こうした「報告」については査読を受ける原稿としてあつかい、明確さをもった学術論文として広く公開するため、また投稿にしやすさをかんがえて、このカテゴリーを「研究ノート」、「評論」、「観点」にわけることとしました。

「研究ノート」は、日本あるいは各地域の鳥類種の初記録やこれまであまり記録がなかった種の記録のまとめ、めずらしい行動や生態の観察記録、形態の記載、各地の鳥類相の記載、個体数や密度の記載、鳥類標本の由来や文化誌資料のとりまとめなど、広い学問領域からの原稿を受けつけます。必要に応じ、考察をふくんでいただくことができます。

「評論」は学術論文に対する意見、反論など学術的な意見交換、「観点」は先行研究をふまえてそれらの意義や今後の展開を論議したものをあつかいます。これらは、科学論文としての正確さを期すため、一人以上の査読を受けた上で掲載が判断されますので、査読付き論文になります。とくに、これら研究ノート、評論、観点の原稿については、編集委員会は掲載までのサポートを重視した対応で臨みます。

さらに、従来、「報告」にふくまれていました内容のうち、たとえば博物館などの所蔵標本・資料の紹介とその内容など、考察を必要とせず資料・データをそのまま開示する原稿を「学術資料」として受けつけます。膨大な標本・文献資料の管理・保管を実施している山階鳥類研究所は、資料情報の公開、交換を重要視しており、これらの充実を図っていきたいと考えております。

「雑録」については、書評、誌碑などに充当するものにくわえ、学会参加報告や紀行文、情報交換など積極的なご寄稿をお願いします。「学術資料」と「雑録」は査読をおこなわず、これまでの「報告」と同様に編集委員会の校閲のみ行います。

こうした変更を受け、投稿規定と投稿の手引きをあらたに整備しました。ご一読いただき、一層のご投稿をおまちしております。

編集長 綿貫豊

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