研究・調査

2020年1月30日掲載

海鳥が食べていたプラスチック片から添加剤
体内蓄積の実態が明らかに

東京農工大学の高田秀重教授をはじめとする国際研究グループは、海鳥が食べていたプラスチック片から添加剤が検出されたことを、国際誌に発表しました。この研究グループには、出口智広・前保全研究室長(現・兵庫県立大学大学院准教授)が参加しています。

この研究では、北大西洋フェロー諸島のフルマカモメと小笠原諸島のクロアシアホウドリならびにコアホウドリが摂食していたプラスチック片やプラスチックペレット194個について、一粒ずつ、添加剤の有無と種類の分析を行いました。その結果、4種の紫外線吸収剤と2種の臭素系難燃剤がそれぞれ4.6%、2.1%の検出頻度で検出されました。これは、100粒調べた場合には、それぞれ約5粒、2粒から検出されることにあたります。

プラスチックの中には、機能の向上のため多種類の添加剤が少量配合されることがあります。高田教授らのこれまでの研究から、海鳥が添加剤入りのプラスチックを摂食すると、添加剤がプラスチックから溶け出し、海鳥の脂肪や肝臓に蓄積することが確認されており、今回の調査結果とあわせると、海鳥1羽当たり15個のプラスチック片を摂食すると、73%の確率で海鳥の体組織中に何らかのプラスチック添加剤が蓄積することになります。この1羽あたり15個という数字は今回調査した海鳥で実際に検出されている数です。これは、4羽調べると3羽から添加剤が検出されることにあたります。そして、この数が2倍、つまり1羽当たり30個になると、添加剤の蓄積確率は90%になります。

このように、これまでの研究と今回の結果とあわせて、食べたプラスチックから溶出した添加剤が、海鳥の体内に蓄積する実態が明らかになりました。

クロアシアホウドリ

この研究結果は Tanaka, K. et al. 2019.Piece-bypiece analysis of additives and manufacturingbyproducts in plastics ingested by seabirds: Implication for risk of exposure to seabirds. Marine Pollution Bulletin, 145: 36-41. として発表されました。

「山階鳥研NEWS 2020年1月号」より

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