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2018年11月7日更新

山階鳥研の所員をインタビューした中学一年生
自由研究がコンクールで受賞

山階鳥研に来所し、所員にインタビューした梶本 和(やまと)君(千葉県立千葉中学校1年())が、その結果を中心にまとめた自由研究「ぼくは鳥類学者になれますか?〜夢は叶えるためにある!〜」が、第21回「図書館を使った調べる学習コンクール」(主催:公益財団法人図書館振興財団)で、優秀賞・日本児童教育振興財団賞を受賞しました。

写真:梶本くんと受賞作
受賞研究を持つ梶本君(表彰式にて。梶本和子さん撮影)

幼稚園の頃は恐竜好きだった梶本 和君は、小学校に入って鳥が好きになり、今は鳥類学者になりたいと思っています。ですがお母さんに話すと、それには大学の何学部に行けばよいのか、就職があるのか、食べてゆけるのかと次々に質問されて、答えられませんでした。どうしたら鳥類学者になれるのかを調べようというのが自由研究のきっかけでした。

最初いくつかの本を読みましたが、鳥類学の本はあっても、鳥類学者になるにはどうするのかという本はあまり見つかりませんでした。そのため、梶本君は昨年8月25日に、以前から知っていて一度訪ねてみたかった山階鳥研に、お母さんと見学に訪れました。毎月第4金曜日に行っている見学会は、通常、講堂で、スライドを使って山階鳥研の沿革と、仕事のあらましを紹介をするものですが、この日は参加者が梶本君とお母さんだけだったため、見学会担当の平岡考広報コミュニケーションディレクターの判断で、スライドでの説明のあと、所内を回って梶本君が所員にインタビューをしました。

この日、山階鳥研で7人の所員にインタビューし、その後、9月18日には筑波大学で開催された日本鳥学会の公開シンポジウム「生態学者vs外来生物 本気で根絶、本気で再生 奄美・沖縄・小笠原」に一人で参加した梶本君は、これらの結果に、ふだん出入りしている千葉県立中央博物館の2人の鳥類研究者のインタビューと、いくつもの本で調べた内容もくわえて自由研究をまとめました。この研究が、「図書館を使った調べる学習コンクール」で「優秀賞・日本児童教育振興財団賞」に選ばれました。9万点以上の応募から、32作品の入賞者の一人となったのです。

自分の考えや思いを言葉にしてレポートにまとめるのは大変だったそうですが、今回の研究を通じて、梶本君の中で鳥類学者のイメージがぐっと身近で具体的なものになったようです。同財団から送っていただいた受賞研究のpdfを、山階鳥研の所内でも回覧しましたが、梶本君の、鳥類学者になりたいという情熱が感じられるとともに、どこか飄々としたクールな分析もあり、所員からは「面白かった」、「インタビューした所員への観察眼が鋭い」、「飽きずに読ませる文章力は将来が楽しみ」といった感想が聞かれました。所員一同もすっかり梶本君に親近感を抱いています。

梶本君、おめでとう!これからも鳥や自然の観察や研究を続け、幅広い勉強に励んで、立派な鳥類学者になってください。応援します!

(注)今年4月から中学2年生です。

梶本和君の受賞研究のp. 18〜19から富田研究員のインタビュー部分の抜粋です。実際のレポートでは、富田研究員の顔写真があるほ か、「モニタリングサイト1000」について「環境省生物多様性センターホームページより」として囲みの解説をつけてあります。

<富田直樹先生>

○主な仕事‥モニタリングサイト1000の海鳥調査や鳥類標識調査の現地調査および解析のとりまとめ

富田先生は、大阪市立大学大学院を卒業した、理学博士だ。大学では海のほ乳類の行動とホルモンのバランスを研究した。船のアルバイトでアホウドリの乱獲を防ぐ仕事をした経験から、鳥の研究にうつったそうだ。日本全国の海鳥を調査している。・・・でも、大学で鳥を専門に研究していなくても、後から鳥類学者になれるとは思わなかった。

「中学生のうちはいろいろなことに興味を持とう!」とアドバイスをいただいた。・・・山階鳥類研究所は、環境省からの委託でする仕事も多いようだ。最近鳥が減ったなーという感覚があってからでは遅いわけで、きちんと長年のデータをとって、早めに手を打つのは、とても大事なことだと思う。

山階鳥研ニュース」2018年5月号より

このレポートは→ 図書館振興財団のウェブサイトでお読みいただけます。(2018年11月追記)

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