7月18日(火)は一斉休業します

山階鳥研は、本年も夏季の節電対策として、照明、空調の使用抑制等に加えて、通常は職員がそれぞれの都合で取る夏期休暇のうち2日間について、一斉休業し、その1回目を 7月18日(火)に実施します。ご関係の皆様にはご不便をおかけいたしますが、ご承知おきください。

山階芳麿博士、誕生日おめでとうございます

オランダ王室のベルンハルト殿下(左)から勲章を受ける山階芳麿(中央)
(1978年6月24日、ソスティダイク離宮(オランダ)、山階鳥研所蔵写真)

山階鳥研の創立者、山階芳麿は、123年前の今日、1900年7月5日に当時の東京市麹町で生まれ、鳥類の研究と保護に一生を捧げました。

戦前にはアジア・太平洋地域の鳥類の分類学に多大な貢献をした山階芳麿でしたが、戦後は鳥類保護に力点を移し、日本の鳥類保護のリーダーとして、国際的な保護団体の役職にも就いて、日本およびアジアの鳥の保全のために尽力しました。

77歳になっていた1978年6月には当時副会長を務めていた国際鳥類保護会議(ICBP、後のバードライフインターナショナル)の総会出席などのために3週間以上の訪欧の旅に出ています。ユーゴスラビアのオフリドで開催された同会議ですが、その実行委員会では、ICBPの将来や、IUCN(国際自然保護連合)、WWF(世界野生生物基金、現在の世界自然保護基金)との協力について討議しました。

さらにジュネーブのIUCN本部で、アジア、太平洋地域の問題点やワシントン条約の現状について説明を聞いており(日本はワシントン条約に1973年に署名しましたが当時まだ批准していませんでした)、WWF本部で同団体の現状や日本との関係、ICBPとの関係について話し合っています。

ユーゴスラビアに先だって訪れたベルリンでは、世界規模の鳥類学の研究集会である国際鳥類学会議(IOC)に参加したほか、分類学者であった山階芳麿は、コペンハーゲンやライデンの自然史博物館で日本関係の鳥類標本も閲覧しました。

山階芳麿の尽力は国際的にも評価されていました。さまざまの仕事をこなした訪欧の最後の目的地はオランダのアムステルダムで、ここで、オランダ王室のゴールデンアーク勲章(金の箱舟勲章)の最高位であるコマンドール勲章をベルンハルト殿下から授与されました。この勲章は国際的に動植物の保護に貢献した人に贈られるものです。1977年にICBPから贈られたジャン・デラクール賞に続いて2つ目の国際的な顕彰となりました。

* 山階鳥研では、この写真も含め、従来、整理の手が回っていなかった、古い書類、書簡、写真などの資料類の整理に着手しています。
* この記事の記述はおもに「山階芳麿の生涯」(青木営治(編)、1982)によりました。

アホウドリ繁殖状況2022-23/昆明・モントリオール生物多様性枠組(2)/富士山における鳥類研究/シジュウカラガンの渡り経路と繁殖地新知見ほか「山階鳥研NEWS」2023年7月号

山階鳥類研究所の広報紙「山階鳥研NEWS」2023年7月号(No.308)をご紹介します。

冒頭ではアホウドリ鳥島と聟島の新繁殖地における繁殖状況について最新の情報を掲載しました。また、シジュウカラガンの渡り経路と繁殖地新知見についても掲載し、これら2件について、山階鳥研はそれぞれ報道発表を行っております。

続いて所員エッセー。多様な自然環境を持つ富士山での鳥類研究をライフワークとしている森本研究員による「富士山における鳥類研究のこれまでと展開」。

環境省野生生物課の中澤圭一課長による連載「昆明・モントリオール生物多様性枠組」は第二回目。新枠組が決められるまでにどのような検討過程を経たのかについてお話いただきました。

巻末の鳥のモニュメントは、富山市にある「白いタカの導き 佐伯有頼少年像」です。

その他、サントリー世界愛鳥基金アホウドリの普及啓発活動に助成が贈られる話題、バンディングかわら版第6号発行、令和4年度寄附金・賛助会員についてのご報告や、イベント告知・レポートなども掲載しました。

2023年7月号(第308号) 目次(敬称略)
1面
 表紙写真(オオバン) 賛助会員 孝橋貞樹
2面 アホウドリ2022-2023 繁殖状況
3面 所員エッセー 富士山における鳥類研究のこれまでと展開 研究員 森本元
4-5面 昆明・モントリオール生物多様性枠組について(その2)検討過程 環境省 自然環境局 野生生物課長 中澤圭一
6面 サントリー世界愛鳥基金アホウドリの普及啓発活動に助成/バンディングかわら版第6号発行/シジュウカラガンの渡り経路と繁殖地を初めて明らかに/所員の著書
7面 令和4年度寄附金・賛助会費・会員数の報告/Enjoy手賀沼!バードウィーク手賀沼探鳥会/講演と展示協力イベント告知/協力調査員表彰
8面 鳥のサイエンストーク/展示協力・活動報告/鳥のモニュメント/事務局から(賛助会員・ご寄附/新型コロナウイルス感染症対応について/所内見学会再開)/編集後記

「山階鳥研NEWS」は、山階鳥研の活動や、鳥学研究や鳥の話題をやさしく紹介するニュースレターです。賛助会員に入会いただきますと、隔月でお送りいたします。
* 賛助会員のご入会は「ご支援のお願い」をご覧ください。
* 山階鳥研NEWSのこれまでの号の目次はこちらです。

こちらも合わせてごらんください。
山階鳥研ウェブサイト イベント情報ページ
山階鳥研ウェブサイト プレスリリースページ

献本ありがとうございます。「Wildlife, landscape use and society: regional case studies in Japan」

著者の、森林総合研究所元上席研究員/長崎大学元教授の杉村乾(すぎむら・けん)さんからご寄贈いただきました。

5月10日、杉村さんが、東京大学元准教授の石田健さんと来所され、本書をご寄贈くださいました。こちらでご紹介するとともに、書庫に納めて活用いたします。ご寄贈大変ありがとうございました。

左から、石田健さん、杉村乾さん、鶴見みや古文化資料ディレクター、水田拓自然誌・保全研究ディレクター

Ken Sugimura 杉村乾(著)
Wildlife, landscape use and society: regional case studies in Japan

Routledge, London. (2021年3月9日発行, 本文195ページ. £130.00. ISBN-978-0-367-33381-2)
→ 版元ページはこちら

昆明・モントリオール生物多様性枠組(1)/80年前のビショップ博物館との交流/山階武彦助成事業活動レポートほか「山階鳥研NEWS」2023年5月号

山階鳥類研究所の広報紙「山階鳥研NEWS」2023年5月号(No.307)をご紹介します。

冒頭では「昆明・モントリオール生物多様性枠組」についての第一回目。新型コロナウイルス感染症流行の影響から延期されていた生物多様性条約の第15回締約国会議は、2021年10月(中国・昆明)と、2022年10月(カナダ・モントリオール)の2部に分けて開催されました。この会議で決まった、「新枠組」について、環境省野生生物課の中澤圭一課長に3回の連載で解説いただきます。

続いて山階武彦助成事業活動レポートを。2021年度に助成金を受けた方の中から、大槻正遼さんに、北海道でのウミネコの繁殖におよぼすアライグマの悪影響に関する研究についてご紹介いただきました。山階鳥研では、野生鳥獣の保護に関する学術の振興に資する国際会議等に出席する研究者に対し、渡航費用を助成しています(2021年度から例外的に国内での活動も対象としています)。

小林さやか研究員による所員エッセーでは、2019年から山階鳥研と連携協定を締結しているハワイ・ビショップ博物館についてのお話。残されている手紙などを調べると、なんと80年前から交流があったことがわかったそうです。

巻末の鳥のモニュメントは、青森県風間浦村にある「井上靖文学碑 ナイター照明に飛来する鳥」です。

その他、今年度の事業計画、イベント告知・レポートなども掲載しました。

「山階鳥研NEWS」2023年5月号(第307号) 目次(敬称略)
1面
 表紙写真(カッコウ) 賛助会員 内藤健晴
2-3面 昆明・モントリオール 生物多様性枠組について(その1) 環境省自然環境局 野生生物課長 中澤圭一
4面 山階武彦助成事業活動レポート 北海道枝幸町におけるウミネコに対する侵略的外来種アライグマの影響調査 コグニザントジャパン(株)大槻正遼
5面 所員エッセー 80年前の手紙から紐解くハワイ・ビショップ博物館との交流 研究員 小林さやか
6面 文部科学省科学研究費補助金(特定奨励費)研究成果発表会を開催/インターメディアテク特別展示『極楽鳥』
7-8面 令和5年度事業計画と収支予算/事務局から(人事異動/山階武彦助成事業/表紙写真ご応募御礼/賛助会員・ご寄附)鳥のサイエンストーク/所員の著書/鳥のモニュメント/編集後記

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東南アジアの越冬地からセンダイムシクイが到着しました

山階鳥研のある我孫子でも新緑がまぶしい季節となり、今日は初夏のような天候でした。
 
今日は建物の裏山でセンダイムシクイのさえずりが聞こえました。センダイムシクイはスズメよりやや小さい、黄緑色の小鳥で、ユーラシアの東端と日本で繁殖し、東南アジアで越冬します。
 
今日は2羽か3羽程度のさえずりが聞こえましたが、彼らは越冬地の東南アジアから到着したばかりの個体なのだと思います。おそらく、明日には裏山からいなくなり、さらに北上し、日本国内かもしれませんし、さらに大陸に渡るのかもしれませんが、どこかの山地の森林で繁殖するのでしょう。
 
前もこのブログで書きましたが、センダイムシクイのさえずりは、カタカナで書くと「チヨチヨビーィ」といったふうに書けますが、このさえずりは「焼酎一杯ぐいー」と「聞きなし」されます。「聞きなし」というのは、鳥の鳴き声を、意味のある人の言葉を言っているように聞くことです。

今日のセンダイムシクイの録音を貼っておきますので聞いてみてください。センダイムシクイのさえずりは1秒、10秒、20秒あたりの3回聞こえます。ほかにヤマガラ、メジロ、ハシブトガラスの声が入っています。

センダイムシクイのさえずり(2023年4月20日、山階鳥研。ノイズリダクションと増幅済み)

※ 写真にはセンダイムシクイは写っていません。

東京駅前で開催中の特別展示『極楽鳥』

山階鳥研の標本が多数見られます



開館十周年を迎えた東京大学総合研究博物館インターメディアテクでは、鳥をモチーフとした宝飾芸術の歴史的名品を、鳥の剥製標本をはじめ一級の自然誌標本および研究資料とあわせて展示しています。鳥をモチーフにした素晴らしいブローチなどが多数ご覧いただけます。

山階鳥研はこの展示に協力しており、山階鳥研の所蔵する剝製標本が、東京大学総合研究博物館に寄託されている標本も含め多数展示されています。美しい宝飾品と、実際の美しい鳥たちの競演をお楽しみください。

インターメディアテク
開館十周年記念特別展示『極楽鳥』

【日時】開催中〜5月7日(日)
休館日:月曜日(月曜日が祝日の場合は翌日休館)、その他館が定める日
【会場】 JPタワー学術文化総合ミュージアム インターメディアテク
【入館料】 無料
【主催】 東京大学総合研究博物館+レコール ジュエリーと宝飾芸術の学校
【協力】 山階鳥類研究所  【協賛】ヴァン クリーフ&アーペル
【企画】 東京大学総合研究博物館インターメディアテク寄付研究部門+東京大学総合研究博物館国際デザイン学寄付研究部門
※ 詳細はインターメディアテク展示ページをご覧ください。
【関連イベント】 関連のレクチャーが開催されます。詳細はインターメディアテクのレクチャーページをご覧ください。

森本研究員が監修した『知って楽しいカワセミの暮らし』が出版されました。

所員の著書をご紹介します。

カワセミ類の生態や特徴について全体像から日本産カワセミ類各種のこと、さらにはカワセミが暮らす河川や水環境、人との関わりに関する話題まで、まとめて知ることが出来るありそうでなかった1冊です。著者である笠原氏のフィールドである長野県千曲川での話題を中心としながらも、日本や欧州でのカワセミの渡りや、河川の維持管理・環境保全といったさまざまな話題を紹介しています。

森本元研究員が監修を務めるとともに構造色とバイオミメティクスに関するコラムも執筆しています。是非書店でお求めください。各販売サイトでもご購入いただけます。

<書籍情報>
書名: 知って楽しいカワセミの暮らし
著者: 笠原 里恵
監修: 森本 元
発行:緑書房 版元サイト
判型/頁:四六判/328頁
定価:2,420円(税込)
発行日:2023年4月5日

*山階鳥研ウェブサイト「所員の著書」ページもあわせてご覧ください。 → こちら

献本ありがとうございます。「人類を熱狂させた鳥たち 食欲・収集欲・探究欲の1万2000年」

出版社から広報に献本いただきました。こちらでご紹介するとともに、書庫に納めて活用いたします。ご寄贈大変ありがとうございました。

ティム・バークヘッド(著)黒沢令子(訳)
人類を熱狂させた鳥たち 食欲・収集欲・探究欲の1万2000年

築地書館, 東京. (2023年3月29日発行, 口絵8ページ+本文404ページ. 3,520円 (本体:3,200円). ISBN-978-4-8067-1647-1)
→ 版元ページはこちら

献本ありがとうございます。「別冊暮しの手帖 健康と暮らし特別付録「散歩の楽しみ 日本の花 日本の鳥」」の制作に際し協力をしました。

特別付録の冊子制作に際し、広報などで協力をし、出版社から広報に献本いただきました。こちらでご紹介するとともに、書庫に納めて活用いたします。ご寄贈大変ありがとうございました。

暮しの手帖社 別冊編集部
別冊暮しの手帖 健康と暮らし 特別付録「散歩の楽しみ 日本の花 日本の鳥」

暮しの手帖社, 東京. (2023年3月22日発行, 112ページ. 1,500円 (本体:1,364円). )
→ 版元ページはこちら