読み物コーナー

2023年4月10日掲載

山階鳥研の研究者が参加している国立科学博物館の皇居生物相調査において、2022年春に皇居と赤坂御用地で、大型猛禽類であるオオタカとフクロウ両種が同時期に繁殖したことを初めて確認しました。

皇居と赤坂御用地でオオタカとフクロウの繁殖が確認されました

皇居生物相調査の鳥類調査班には、山階鳥研から黒田清子フェロー、小林さやか研究員、齋藤武馬研究員が参加しています。

5月から6月に行った調査では、皇居と赤坂御用地でオオタカの巣と雛(ひな)を確認し、両所で2羽ずつ巣内雛の成長を確認しました。その後、巣立ち雛の声から4羽すべてが巣立ったと推定されました。6月から7月に行った夜間を含む調査では、フクロウの巣立ち雛の声や姿が両所で確認され、それぞれ雛1羽が巣立ったと推定されました。

皇居でオオタカの繁殖(営巣)が確認されたのは2001年、13年、15~17年、19年、21年で、フクロウの巣立ち雛の姿や声が確認されたのは16年と19年でした。赤坂御用地ではオオタカの繁殖は13年、15~18年、20年に確認され、フクロウの繁殖はこれまで確認されていませんでした。また、オオタカの繁殖行動は国立科学博物館附属自然教育園(港区白金台) でも17年以降継続して確認され、明治神宮でも2007年以降度々確認されるなど、都心部の緑地において大型猛禽類の繁殖が増えています。

皇居の鳥類調査は、山階鳥研により1965年以降、ほぼ継続的に行われてきました。皇居と並んで都心に位置する大規模緑地である赤坂御用地でも皇居同様に長年の鳥類調査が行われてきました。その結果、皇居や赤坂では繁殖する陸鳥の種が次第に増加してきたことが分かっています。70年代にはヤマガラとヒヨドリが繁殖するようになり、80年代にコゲラとメジロが、90年代にカワセミが、2000年代にオオタカが、10年代にエナガとウグイスがそれぞれ繁殖するようになりました。

写真:赤坂御用地のオオタカ

赤坂御用地のオオタカの巣の雛と雌親(2022年6月12日、撮影:黒田清子・安藤達彦、国立科学博物館提供)

<調査で確認されたフクロウのヒナの声>(YouTube の【国立科学博物館 公式】かはくチャンネル)
赤坂御用地(2022年6月27日)
皇居(2022年7月1日) (いずれも録音:黒田清子)

このページのトップへ