山階鳥類研究所 アホウドリのページアホウドリ 復活への展望

アホウドリの参考文献

2019年1月17日更新

ここでは、山階鳥類研究所が保護活動を行っている絶滅危惧種のアホウドリとその繁殖地のひとつである伊豆諸島の鳥島についての参考文献、また保護活動に関する論文とウェブサイトへのリンクをご紹介します。山階鳥研のアホウドリのページの記述は多くをこれらの文献の記述によっています。
ページ内にあるリンク先の多くは外部サイトです。予めご了承ください。

目次

山階鳥研所員によるアホウドリ関連のインタビュー、取材、講演記録など

(所属・肩書は掲載当時のものです。リンク先は外部サイトです。)


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山階鳥研関係の論文・書籍など

2) 小笠原再導入関連
3) デコイ作戦開始以降(鳥島のアホウドリ)
4) デコイ作戦開始以降(鳥島以外またはアホウドリ以外)
5) 戦後、デコイ作戦開始前
  • 吉井正, 1973. 無事だったアホウドリ.野鳥, 38(9): 420-424.
    イギリスのアホウドリ研究者ティッケルに同行した鳥島調査紀行。

* 下記3件には、1960年代前半の鳥島におけるアホウドリの標識調査報告がある。

6) 戦前のもの
  • 山田信夫, 1985. 探鳥記. 50数年前の鳥類生態研究創始の記録. 三学出版, 東京, 211 pp.
    昭和初期に山階鳥研に在籍して野外調査をした経験をつづったもの。1章を鳥島における鳥類調査の思い出にあてており、当時の鳥島でのアホウドリへの標識調査のようすなどがわかる。
  • 山階芳麿 1942. 伊豆七島の鳥類. 鳥, 11(53-54); 191-271.
    伊豆諸島に生息する鳥類について種ごとに知見をまとめたもの。戦前のアホウドリの減少の過程についてのまとめは貴重な資料である。
  • 山階芳麿1931. 鳥島紀行. 鳥, 31:5-10.
    1929年1月に鳥島を訪れた際の報告。アホウドリをはじめ各種鳥類の生息状況に触れる。

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長谷川博氏著作

長谷川博氏には、一般向けの単行本を含め、アホウドリに関する業績、著作が数多くあります。ここではそのうち代表的なものをご紹介します。

  • 長谷川博,2015. オキノタユウの島で 無人島滞在"アホウドリ"調査日誌.偕成社.東京.234+12pp.
  • 長谷川博,2007.大型海鳥アホウドリの保護.山岸哲(監修)保全鳥類学.京都大学出版会
    著者が1976年に研究を開始して以降のアホウドリの個体群生態学に基づいた保護について検討し、現在の問題点、小笠原移住計画の今後を展望する。
  • 長谷川博, 2006. 小笠原諸島にアホウドリの第3繁殖地を!復活にむかってホップ・ステップ・ジャンプ!どうぶつと動物園, 58(1):4-13.
    アホウドリの歴史を概観して、小笠原諸島への誘致計画を解説。
  • 長谷川博, 2006. アホウドリに夢中. 新日本出版社, 東京, 182pp.
    鳥島のデコイ作戦の成功、今後の小笠原諸島への誘致計画までの半生の保護活動を紹介。
  • 長谷川博, 2003. 50羽から5000羽へ. どうぶつ社, 東京, 222pp.
    著者が過去に発表した雑誌記事等を集めたもの。上記の「海洋と生物」「科学」「遺伝」に掲載の記事も採録されており便利な1册。
  • 長谷川博, 1999. アホウドリは復活するか. 遺伝, 53(4):86-89; 53(5):54-58.
    鳥島での保護活動以外に取り組むべき漁業混獲やプラスチックごみ等の問題について検討。
  • 長谷川博, 1997. アホウドリはよみがえるか. 科学, 67(3): 211-218.
    鳥島での燕崎繁殖地での環境保全と初寝崎におけるデコイ作戦を2本の柱として今後の見通しを検討。
  • 長谷川博, 1995. 風にのれ!アホウドリ. フレーベル館, 東京, 104pp.
    著者の研究の半生を織りまぜながら、アホウドリの生態と保護活動を美しい写真とともに紹介。子供向けだが大人が読んでもわかりやすい。
  • H. Hasegawa, 1984. Status and Conservation of Seabirds in Japan, with Special Attention to the Short-tailed Albatross, ICBP Technical Publication, 2: 487-500.
    日本の海鳥類の状況を紹介するなかで、アホウドリの当時の現況を紹介。
  • H. Hasegawa and A. R. DeGange, 1982. The Short-tailed Albatross, Diomedea albatrus, its status, distribution and natural history.American Birds,36(5):806-814.
    アホウドリの歴史、分布、生態、保護上の問題点など。デコイ作戦以前のものであるが、一般向けに手際よくまとめた英文の解説として有用。
  • 長谷川博, 1979. アホウドリ-その歴史と現状(I)(II). 海洋と生物, 1(4): 18-22; 1(5): 30-35.
    歴史上の減少の過程や鳥島以外の過去の分布などを文献をもとに調査。

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それ以外の参考文献

山階鳥研関係および長谷川博氏以外の文献で、明治時代以降のものから、しばしば引用されるものを中心に、アホウドリとその保護活動の理解に有用と思われる代表的なものをあげました。

  • 服部徹, 1889. 鳥嶋信天翁の話. 動物学雑誌1(12):405-411.
    鳥島のアホウドリに関する科学者による最初の報告。1887年に鳥島に渡った際の状況を報告しており、アホウドリが多数生息していた頃の様子を詳しく知ることのできる貴重な資料。
  • Oliver Austin, 1949. The Status of Steller's Albatross. Pacific Science, 3:283-295.
    1949年春の伊豆・小笠原諸島の調査にもとづいて、アホウドリが絶滅してしまったのではないかと推測したもの(いわゆる「絶滅宣言」)。生態や減少の歴史についてもまとめる。
  • 山本正司,1954. 鳥島の”あほうどり” 測候時報, 21(8):232-233.+plate.
    1951年のアホウドリの再発見の当事者による最初の報告。
  • 大野義輝, 1955. 鳥島の鳥. 鳥14(66): 24-32.+ plate I.
    再発見からまもない頃の鳥島の状況を報告。
  • 渡部栄一, 1963. 鳥島のあほう鳥. 気象庁, 南鳥島・鳥島の気象累年報および調査報告. 気象庁, 東京, pp. 156-168.
    気象庁職員によるアホウドリの詳しい生態観察記録。この報告書にはほかに鳥島の気象データ、地質図のほか「鳥島の昆虫相」(渡辺泰明)、「鳥島の景観と植生」(常谷幸雄)が収められている。
  • 藤澤格, 1967. アホウドリ. 刀江書院, 東京, 169pp.
    気象庁のスタッフによる鳥島のアホウドリの観察記録。写真(モノクロ)を多用してアホウドリを紹介。
  • 気象庁鳥島クラブ「鳥島」編集委員会(編), 1967. 鳥島. 刀江書院, 東京, 127pp.
    気象庁関係者その他が寄稿して鳥島の歴史、自然、気象観測の実際等についてまとめたもの。山階芳麿が「鳥島のアホウドリ」という小文を寄せている。
  • 池原貞雄・下謝名松栄, 1971. 尖閣列島の陸生動物. 琉球大学尖閣列島学術調査団, 尖閣列島学術調査報告, 琉球大学.
    1971年の尖閣諸島の調査報告。南小島にアホウドリの生息を確認している。
  • S. W. Kress, 1978. Establishing Atlantic Puffins at a Former Breeding Site. in S. A. Temple, ed. Endangered Birds: Management Techniques for Preserving Threatened Species. Univ. of Wisconsin Press. Pp.373-377.
    アメリカ合衆国メイン州でのニシツノメドリの以前の集団繁殖地へのデコイとヒナの移植を使った再導入計画の簡単な紹介。
  • 羽毛文化史研究会, 1993. 羽毛と寝具のはなし. 日本経済評論社, 東京, 202pp.
    「海を渡った日本産羽毛」(奥須磨子)という章で、明治大正時代の日本の輸出産業としての羽毛採取について概説。
  • 佐尾和子・丹後玲子・根本稔(編)1995. プラスチックの海 おびやかされる海の生きものたち- . 海洋工学研究所出版部, 東京, 302 pp.
    プラスチックによる海洋汚染の現状と海洋生物に対する影響を一般向けに紹介。
  • S. W. Kress, 1997. Using Animal Behavior for Conservation.: Case Studies in Seabird Restoration from the Maine Coast, USA. Journal of the Yamashina Institute for Ornithology, 29: 1-26.
    デコイと音声を利用した集団繁殖地の回復の事例として、アメリカ合衆国東部でのニシツノメドリ、キョクアジサシ、ベニアジサシの再導入計画の事例を紹介。
  • W. L. N. Tickel, 2000. Albatrosses. Pica Press, 448pp.
    世界のアホウドリ科鳥類全種の分類・生態・行動などの生物学全般を扱った大部の研究書。
  • 山本正司, 2002. アホウドリ再発見のあの日. 山階鳥研ニュース. 14(3):2-3.
    当事者による再発見当時の回顧。

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文学作品

鳥島とアホウドリが登場するものから一般的なものをいくつかご紹介します。

  • 井伏鱒二, ジョン万次郎漂流記(「さざなみ軍記・ジョン万次郎漂流記」新潮文庫. 所収)
    中浜万次郎の半生を描いた小説。はじめに鳥島に漂着したようすが描かれる。
  • 新田次郎, 孤島(「強力伝・孤島」新潮文庫. 所収)
    鳥島測候所での生活を描く短編。アホウドリの再発見のエピソードが描かれる。
  • 新田次郎, 火の島. (新潮文庫. 絶版)
    1965年の群発地震による鳥島気象観測所からの引上げを描いた小説。
  • 吉村昭, 漂流(新潮文庫)
    江戸時代に鳥島に漂着し生還した漁民、長平を描いた小説。

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