アホウドリ 復活への展望 山階鳥類研究所 アホウドリのページ

2023年11月29日掲載

アホウドリの保全活動と研究を継続するための
マンスリーサポーターを募集します

アホウドリは、これまでの熱心な保全活動により、個体数が回復してきています。しかし、まだ継続して保全活動が必要な状況であるため、山階鳥研では今後10年の活動のための募金を開始しました。

山階鳥研NEWS 2023年11月号 より)

アホウドリをとりまく現状

写真:ヒナアホウドリの保全活動は、従来からいくつかの主体によってさまざまな資金を得て行われてきました。現在は山階鳥研が主に環境省と東京都の予算によって、毎年、鳥島と小笠原諸島の聟島(むこじま)で標識調査やモニタリングを含む保全活動を行っています。その結果、鳥島では個体数が増え、聟島でも繁殖が始まりました。このような一定の成果が得られたことで、公的予算は縮小傾向にあり、毎年の現地調査の実施が難しくなりつつあります。しかし、鳥島そのものが火山島でいつ噴火してもおかしくない環境にあること、かつての繁殖地の再生を目指す聟島はつがい数がわずかで安定したとは言えないことなどから、アホウドリにはまだモニタリングを含めた保全活動が必要です。鳥島、聟島とも、孵化したヒナすべてに毎年足環を装着して個体識別をすることも、たいへん重要な作業です。


いつまで保全活動が必要か

アホウドリは、1年に1回しか産卵をせず、産卵数も少ないため、個体数が増えるには長い年月を必要とします。聟島では、移送・飼育されたヒナが巣立ってから帰還するのに3年、飼育個体と野生個体が繁殖に成功するまで8年かかり、そのつがいから産まれたヒナがようやく昨年繁殖しました。毎年複数のつがいが安定して繁殖できるような状況にならないと、その後の個体数増加にはつながりません。最近では、これまで1種と考えられてきたアホウドリは、分類学的に鳥島と尖閣諸島で繁殖する集団を別種とするべきという研究成果が出ており、引き続き研究が進められています。この結果は、従来の保全策を、それぞれの集団の独自性を保つための保全策に考え直す必要があることを意味します。これも、過去半世紀にわたって鳥島や聟島で孵化したヒナすべてに足環を装着した結果、わかったことです。政治的な理由で上陸して調査ができない尖閣諸島のアホウドリは未知な点が多く、この種についての研究にも標識調査やモニタリングの継続は大きな力となります。このように、アホウドリの保全活動と研究は、まだまだ道なかばと言えます。

アホウドリ動画サムネイル

どんな場所でどんな調査をしているか、アホウドリがどんな生き物なのかがわかる動画を公開します

マンスリーサポーターを募集します

山階鳥研では今後もアホウドリのモニタリングや保全活動を継続する必要があると考えています。おおむね10年の活動が必要ですが、予算減少のため、ご支援いただけるマンスリーサポーター(500円/月)を2,000口目標で募集します。2,000口で毎年、鳥島で1回、聟島で3回の調査が可能となり、すべてのヒナへの足環装着、個体数・ヒナ数モニタリング、聟島でのデコイによる誘引などの保全活動が継続できます。ウェブサイトではアホウドリやこれまでの保全活動について知ることができます。あなたもアホウドリが身近な鳥になる未来を支えてみませんか。

アホウドリポストカード

ポストカードも制作しています

※ アホウドリのマンスリーサポーターについては → こちら をご覧ください。
※ アホウドリの動画は → こちら(山階鳥研YouTube公式チャンネル) でご覧ください。

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